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朝のバス停、マダムのからの     言葉に救われるの巻         

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出社する日は7時過ぎに家を出る。もう少し遅く出ても充分間に合うのだがラッシュアワーの混雑(東京のそれに比べれば非常にかわいいレベル)も避けられるし、何と言っても朝の澄んだ空気が好きだ。

その時間に自宅近辺で目にするのは道の清掃をするパリ市職員、週2回たつマルシェの仮設テントに慌ただしく商品を並べる店員、路上生活しているおじさんぐらいだろうか。

冬の間はその路上生活をしているおじさんの前を通るたびに「生きているだろうか」と気になってしまう。レ▪ミゼラブルの映画に出てきそうな老人だ。いや、どんなメーキャップアーティストもあの年季の入った風貌は表現できないだろう。深く刻まれた顔の皺、伸び放題のひげ、、。

彼は朝、大抵大きな寝袋に全身くるまっているでその姿は見えないのだが、たまに定位置から寝袋や私物が根こそぎなくなっている。
「あっ。逝ってしまったか。。」と勝手に想像し祈りを捧げる。。。
が、いつもその数日後、同じ場所に彼のテリトリーが復活している。
何度祈りを捧げたことか・・。(おじさん、ごめんなさい) さすがに本人に聞くのも憚れるので移動の理由は今だ謎だ。

そんな彼のテリトリーを通り過ぎ、いつものバス停に着く。
朝のメンバーはいつも同じだ。長身の少し神経質そうな30代ぐらいのサラリーマン風のお兄さん。アジア系のおじさん。そしていつも薄い木綿の服を重ね着しているようなアフリカのおばさん。。

このアフリカのおばさんが陽気で楽しい。
毎日顔を合わせるのでバスを待つ間世間話をするようになった。
「あら~!しばらく会わなかったわね!ヴァカンスだったの~?」
朝から満面の笑みだ。私も朝からテンションは高いので彼女の勢いに負けないくらいの大声でかぶせて答える。「ええ! ヴァカンスでパリを離れてました。今日からまたいつもの生活です。。」とちょっと残念そうな顔をした私に彼女は言った。

「Il faut profiter!(人生を楽しみなさい)」

「Il faut sourire!(微笑みなさい)」

え?!いつも二人で冗談ばかり言い合って大笑いしてるのに、今日は朝からぐっとくるな。

パリを歩いてるとそんな「天からの声」がよく降ってくる。見知らぬ人との会話から人生をふと考えさせられることがよくある。

フランスに生きる人は何故こういう言葉を普通に発するのか。
そして何故フランス語はこうも心に響くのだろう。

バスに揺られながらその言葉の重みをかみしめた。一人感動していた。

「そう。人生を楽しもう。」

窓越しには朝焼けでオレンジ色に染まるセーヌ川。

今日もパリのあちらこちらで天からの声が降っている。




4 Comments

  • 増田美保

    確かに日本のバス停で見知らぬおばさんに「人生を楽しみなさい」なんて話しかけられたら、どこの勧誘だ?って警戒しちゃうけど、パリの風景の中でフランス語なら、素直に心に響きそうだわ。
    「ラヴィアンローズ」「ラヴィボエーム」もフランス語でしたっけね?

    • PARISBELLE

      そうだね、仏語だね。。。仏語だと何でも哲学的というか詩的になる。
      ほんと不思議な言語。でも逆に歌には乗りにくい言語な気がする。

  • T-abacus

    フランス語また学びたくなります〜可能性を自分から否定しては駄目よね。やるか!

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