パリから同時期にニース入りしていた友人とイタリア・サンレモへ日帰り女二人旅へ出た。

出発はNICE−VILLE駅。さすが南の玄関口とあって駅舎の建築も堂々たる風格。ファサードの美しいレリーフが旅情を掻き立てる。さあ今日はどんな出会いが待っているのだろう。
まずはサンレモまでの切符を購入。駅の自動販売機で購入できるはずだがどうもSANREMOの文字が出てこないので切符が買えない〜!係員が誰もいないので尋ねようもない〜。
汽車出発まであと10分。焦る気持ちを抑えながら携帯からネットで購入することに、、やっと成功。汽車に飛び乗る。ふ〜(汗)

NICE-VILLE駅から国境を越えイタリアのVENTIMIGLIA駅まで1時間弱乗る。そこで汽車を乗り換え2駅目がサンレモ。海岸線を走るので非常に美しい景色を楽しみながら移動できる。車内も快適だ。

サンレモ散策
初めてサンレモに来るというのに下調べをするのを忘れた。サンレモが2度目の友人もあまり記憶がないらしい。その上WIFIがうまく入らず見所もチェックできない。どうするんだ〜?
「やっぱりその時の感性で動くのが旅の醍醐味ってもんよね〜」って二人。開き直りというかなんというか、、ある程度年齢を重ねるとここまで図々しくなれるのか。
とは言いつつも世界各国を駆け巡って仕事をする友人は流石に鼻が効くらしい。あれよあれよと見所的な教会、細道を発見しては私を誘導してくれる。頼もしい限りだ。

まず出迎えてくれるのはサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会。典型的なバロック様式のファサードの色合いがフランスのマカロンのお店のようだ。
次に目に止まったのはサント・ステファノ教会。やはりイタリアは巡礼のように自然と教会巡りになるね。

中心街を奥に歩いていくと色とりどりの生花で飾られた石門を発見!パリでは造花でカフェの外壁を飾り立てるのが流行っているのだがこちらは正真正銘の生花だ。
1箇所のみならず壁や柱のあちらこちらに美しいブーケの形で飾られている。復活祭の時期だからなのか普段からそうなのか不明だがサンレモは生花の栽培で有名らしい。納得。




神のご加護を・・・
花々に導かれるように石畳を登っていくと地中海を見下ろせる高台に出た。カステッロ広場だ。
ふと振り返ると背後にまたまた美しい教会が見える。海を守る聖母の教会、サンチュアリオ・デラ・マドンナ・デラ・コスタ教会だ。


シンプルな外観とは裏腹に内装はとても豪奢だ。四方に嵌め込まれた大きな彫像が前面へ迫ってくる。
こんなに素晴らしい芸術に出会えると思っていなかったので私は歓喜の声をあげた。



友人としばらく天井を見上げていると優しそうなおじさんが微笑みながら近づいてきた。目があったのでボンジョルノ!と挨拶をすると彼はおもむろに教会の写真を葉書にしたものを我々に差し出した。
「この葉書は有料で入口で売られているものでは?」と思ったが彼があまりに当然のように差し出すので「これも神からの思し召しかも。ありがたいな」と勝手に解釈しいただくことにした。
「教会でお仕事されているんですか?」何気に聞いてみた。「はい」と彼。
「この教会は海を守る聖母の教会で17世紀に建てられたのです」ゆっくり説明をし始めた。
あまりに物腰が柔らかいので我々もすっかり安心ししばらく3人でイタリア語、英語を交えて雑談をした。
話ははずんだがそろそろ教会を出ようとすると彼も小脇にバックを抱えながら外に出てきた。そしてお財布を取り出した。
名刺でもくれるのかと思いきや何かのカードを見せながら「これからミラノに行くのですが10EURもらえませんか?」とのたまったのだ。
「は??」固まる私。
そう、彼は教会の人でもなんでもなく物乞いだったのだ。身なりも小綺麗だし人当たりもいいのですっかり騙されてしまった。
よく詐欺師はとても感じがいいと言うよね、それだそれ。
もちろん「お金はありません」と答えた。すると彼は何もなかったかのように我々に背を向けてゆっくりと坂を降りて行った。
なんだったのだろうこの時間。ご利益気分を返してくれ〜。
でもなぜだか憎めない彼だった。どうか聖母のご加護が彼にもありますように。。。。
ランチはもちろんイタリアン!
気を取り直してランチのレストラン探しをするか。せっかくだから美味しいイタリアンを食べたい!色々迷ったが友人が感じの良さそうなレストランを見つけてくれた。
Osteria Camelot だ。
感じの良い店主、可愛いテラス、美味しく手頃なお料理、最高だった。


前菜はBrandacujun di Stoccafisso。ブランダクユンという復活祭時期の郷土料理のようだ。干しダラ、ジャガイモを茹で、ニンニク、パセリ、松の実で味付けし、オリーヴオイル、レモン果汁、卵黄で乳化させて、クリーム状にしたもの。優しいお味。

メインはボンゴレスパゲッティ。シンプルで美味しかった。デザートはちょうどいい苦味のティラミス。ビールも飲んだが一人25ユーロほど。お値段も優しい。


最後にレストランの猫ちゃん。美味しいものを食べているのだろう、とても美しい猫ちゃんであった。そしてこれまたとても優しかった。
この街は人もお料理も猫ちゃんもなんだか優しい空気に包まれている。