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フランス人になって大統領選へ行ってきた!

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突然だがこの度フランス国籍を取得したのでご報告。そしてフランス人になって初めての行事が身分証明書やパスポートの申請ではなく一昨日の大統領選の投票であった。これは私の人生の中でもかなり大きなイベントだ!!

どうして今更フランス人に?

まずはよく聞かれるご質問からお答えしよう。そう、今まで同様10年ごとに滞在許可証を更新すればフランスでの生活は保障されるので全く問題はない。

ただ在仏の親しい日本人の友人が仏国籍を申請すると聞いて興味が湧いたこと、今後日本に住むことはないと決めているのでだったらフランス人として生きていくのも面白いんじゃないかと思ったのが大きな理由。またこの2年間コロナ禍で家にいることが多く、考えたり、書類を準備する時間にも余裕が出来て自然とこのような運びとなった。

仏国籍取得は大変?どのような流れ?

申請から取得までに約1年半かかったが、必要書類さえ揃えればそんなにハードルは高くないという印象だ。

「戸籍の外務省印鑑付き」などフランスで用意できない書類については日本の友人に本当にお世話になった。心から感謝している。法廷翻訳をお願いした方も知り合いの紹介でとても温かなご対応をしていただいた。

必要書類に「あるレベル以上の仏語テスト結果」が必須とあるので最初はフランス語検定やソルボンヌ大学語学講座修了証を提出したがあっさり却下。国が指定する語学学校で規定の仏語テストを受験しなければならない。こちらはTOEICのような形式で中レベルぐらいの成績を出せれば大丈夫なので仏語の基本があれば問題ない。

書類審査が通るとシテ島近くの事務所で係員と1対1の面談がある。面談ではフランスの歴史や政治、地理などの小学生レベル?の一般常識についての質問がされる。

こちらもちゃんと「市民の小冊子」Livret du Citoyen というのが国から用意されていてそれを受験勉強のように暗記していけば大丈夫。
何十年ぶりの受験で緊張したが、面接官の女性は開口一番「ひっかけ問題はないので安心してくださいね!」とおっしゃてくださりかなり救われた。ちなみに私の場合、以下のような質問を受けた。

フランスのモットーは?
フランス人としての義務、権利は?
フランスの三大河川、山は?
国連加盟国は何ヵ国?
フランス史で思い浮かぶ人物は?     等

最後の質問ではいつもだったら「ルイ14世!」と言いそうな自分だが何故だかあまり興味もない「ナポレオン」とのたまってしまった。
理由は?と聞かれ「よくコルシカに行くので」(←意味不明!!)。しかもコルシカは独立運動が盛んな地域だ。そんな運動に加担しそうな日本人をフランスは受け入れてくれるのだろうか。。。。答えはOUIであったのだが。

またフランス国歌を暗譜で歌わされると聞いていたので毎日家で練習していた。隣人に聞こえていたらきっと不審に思ったことだろう。どこのフランス人が毎日国歌を斉唱する意味があるのかと。せっかくだから声楽調、つまり裏声でお披露目しようと企んでいたのだがあいにく面接会場には複数の面接ブースがあり、一人一人がお歌を披露するスペースなど全くなかった。残念!

いきなり大統領選挙!

その後、たまたま国籍科の係員からの連絡でフランス国籍を無事取得できたことはわかっていたのだが、今回の大統領選への投票登録はすでに終わっていたので諦めていたところ、以下のような投票参加用紙が選挙3日前ぐらいに自宅に届いた。

え?まだ身分証明書もできていないのに???5月の市議会選挙の方かなと思ったのだがQRコードからWEBサイトに入っていくと「大統領選挙」とある。フランス人の友人に見てもらっても「大統領選挙に間違いない」とのこと。

国籍取得の通達は正式に出ているので登録申請はできていなくとも新市民への対応があるのかも知れない。また昨今低くなってきている投票率を少しでも上げようとの背景もあるのだろう。

さてさて、いきなり現実化した大統領選!投票する人はおおよそ決めたが12名の立候補者の顔だけでも知っておかねばと慌てて調べ、10日朝、投票会場となる小学校へ。(何この一夜漬け感!?)

会場入口に着くと投票開始時刻は過ぎているのになんだか人が並んでいる。どうやら部屋の責任者がまだ来ていないらしい。さすが!!

開始時刻から20分ほど遅れ会場がオープン。待ち構えた人たちが静かに前に進み出した。

これまた初めてのことで緊張していたが仲良しの隣人マダムが列の後方にいたので一緒に行ってもらうことにした。

投票の流れはいたってシンプル。まずは入口で以下封筒をもらう。何やら地味で昔風のデザインがまたいい感じ。
その後12名の候補者名の紙がずらっと並んでいるのでそこから何枚か取り、カーテン付きの個人ブースへ移動。

そこでこっそり?投票したい人の紙を1枚入れ、投票箱へ入れるだけ。

「A voté !」(投票しました)と一人一人の投票時に箱の前に立つ責任者が声をあげる。身が引き締まる思い。我々市民の一票一票が国を決めるんだなと。フランス人になったんだなと。

その夜20時のメディアで4月24日の決選投票は5年前同様、マクロン現大統領とルペン氏の一騎打ちとなることが発表された。
さてどうなることやら、、、、

2時間ほどの選挙報道番組で主な候補者のスピーチを聞いた。やはり以前とはスタンスが異なるのでこういう番組を見るのにも気持ちが入る。

はい。お堅い番組の後はフランス人が大好きな映画「おかしなおかしな訪問者」(Les Visiteurs)上映。中世の騎士が現代にタイムスリップして起きるドタバタコメディーだ。
報道番組の後いきなりこの画面に切り替わったとき私は目を疑ったが、いえいえこれがおフランスざんす。

もちろん、フランス人になったことに後悔は微塵もない。Vive la République, vive la France!

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