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南フランス旅行⑤シャガール美術館

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緑豊かなシミエ地区

久々にシャガール美術館へ行きたくなった。美術館があるのは旧市街の北部、シミエ地区という美しい高級住宅街だ。

旅へ出るときいつも思うのは美術館へ着くまでの時間は既に「美しいものを見る準備段階」であること。香り高いカフェ、サクサクのクロワッサン、気持ちの良い朝の散歩、、全てが美時間へと繋がる大事なアイテム。

今日はシャガールの色彩の世界に入っていく準備を鮮やかなシミエ地区を歩きながらすでに始めている。

塀からたわわに溢れ出る花々、果実の鮮やかな色彩と澄んだ鳥たちの声はシャガールを観るための前奏曲だ。

ニース色のシャガール

数年ぶりのシャガールに会う準備は万全だ。10時の開館とともに中へ入る。観光客が戻りつつある今、ゆっくり鑑賞するには朝一番が良い。

白壁に紺碧、深紅が生える。パリでの展覧会は壁の色にも流行りがあり今では山吹色やオレンジ系の色が多く使われるが、シャガールにはそういった演出は一切必要ない。

ニースの空、海、光、風、、それらが絵の色彩を十分に輝かせる要素となっているからである。

中央の部屋には旧約聖書の「創世記」と「出エジプト記」から題材を得た作品が展示されている。
厳かな中にも温かな教会のような空気だ。

その隣の部屋には打って変わって赤が目を引く旧約聖書の「ソロモンの雅歌」「男女の愛」をテーマに描かれた5枚の連作。

そして圧巻なのはコンサートホールのステンドグラス。まるで海底にいるかのような静寂と透明感。こんな海なら溺れてみたい。

シャガールの言葉「ステンドグラスは私の心と外界の心を透明に分つものだ」。

散策は続く

シャガール美術館を後にしシミエ地区の散策を続ける。豪奢なヴィラを眺めるだけでも優雅な気分に浸れる。すれ違うマダムもみな凛と美しい方ばかり。

病院まで何やらハイソだこと。

マティス美術館。今日は時間の関係で外観だけにしておこう。正面にはカルダーのインスタレーション。

同じ敷地内の公園には昼前からペタンクする若者たちの姿も。そんな日々羨ましいな〜。

この豪華なアパルトマンはイタリアの建築家ビアシーニが1896年に設計したレジーナという建物であるが、かつてここの一室をマティスがアトリエとして使用していたそうだ。

下界に戻る

夢のような世界から下界に戻ってランチ。La Merendaというニース料理の大人気店に行きたかったのだがすでに満席とのこと。中途半端なレストランに入るのはやめてあっさりとチェーン店PAULへ。鶏肉とバジルのサンドイッチとエクレア。こういうのもたまには美味しいのだ。

そして平民は市内を無料で巡回する電気バスに乗って移動する。

大丈夫、シャガールの色彩は脳裏に焼き付いている。

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